暗号理論入門 3.19〜3.22
- 作者: 林芳樹
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2012/04/20
- メディア: 単行本
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3.19 体上の多項式
を体とする。 であれば、 が成立する。
整数環と同様、多項式環 でも割り算をして余りを計算することが可能。
とする。このとき、 であり、 または となる一意的に定まる多項式 が存在する。
を の による除法の商(quotient)、 を余りまたは剰余(remainder)といい、 と書く。
は の0でない多項式で、 は は零点であるとき、ある について、 であり、 は多項式 で割り切れる。
3.20 有限体の構成法
任意の素数 と自然数 について 個の元をもつ有限体は と書く。
素数 を体 の標数という。体 を素体という。
例. での の剰余類は
、
、
、
である。
3.21 有限体の単数群の構造
は 個の元をもつ有限体とする。このとき、 の任意の約数 はちょうど 個の位数 の元を単数群 にもつ。
が有限体で 個の元をもつとすると、単位群 は位数 の巡回群である。この巡回群は 個の生成元をもつ。
3.22 素数を法とする既約剰余群の構造
を素数とする。 の既約剰余群は巡回群で、その位数は である。
剰余類 が既約剰余群 を生成するような整数 は の原始根とよばれる。